FANSの恩恵を享受できない(むしろFANSによりDemeritを受ける)これらの機体を21世紀のFANSに向け「如何にCNS Upgradeを行うか?」・・は現在世界中のAirlineの深刻な問題であり、メーカー、あるいは、技術支援をサービスする企業にとっては一大ビジネスチャンスの時期とも言える。現に北太平洋空域では、1997年後半頃よりRNP−10を導入する計画が話し合われており、遠くない将来、Classic747等は北米線に就航できなくなる可能性もある。
現在AEECではC1assic機にFANS CNS Capabilityを持たせる機器(MMR,GNLU,CMU etc)の標準仕様作りを進めており、その完成は96〜97年頃と考えられる。問題は、これらの機器が完成してもシステムとしての承認を誰が行うか、にありその点でArincは一石を投じたものである。
ArincはACARS等の通信サービス、あるいはArinc Specの作成、AEECやAMCと言った会議の主催を行っているが、ここに来て、FANS機器のセールスやSTC承認に関わる技術サポートを始めた模様で現在多くのAir1ineが抱えている悩みに助け船を出そうと言うもの。Arinc社は既にUSAF関係の輸送機(B747を含む)や、ヘリコプター等のAvionics Up−grade,System integra−tion、STCの実績があり、今後この分野での活動が期待される。
3.5.2.2.5 Benefits from Progress in Communication Techo1ogy
北大西洋空域では、アジア太平洋空域のFANS−1(ACARS等Character Baseでの通信)ではなく、*ATN(Bit Baseの通信)によるADS Trialが行われており、これまでのTrialを通して得られたATNによるCost Benefitを以下のように述べている。
(*理由の詳細は不明だが通信速度、空域の混雑状況等の点でFANS−1では対応しきれない為かと思われる)
通信速度が速い上に、コストも大幅に削減され、今後ADS/CPDLCをSATCOMを介して本格的に運用する場合には極めて大きなコストメリットとして跳ね返ってくる。残念ながら、アジア太平洋でのATN導入は2010年以降と思われる。
3.5.2.3 所感
今回で通算4度目のGlobal Nav/Comであるが、今年はFANS−10perationが既に開始されたと言う実績を踏まえており、これまでの内容よりも具体性が見られた。アジア各国に今年中にADS/CPDLC Work Stationが設置されることや、中国で実施中のADS Trialの話など、何故日本では未だなのか、と責められそうな話ばかりである。
GPSやGLONASSの軍事衛星をGNSS−1とすることに批判的、消極的だった欧州勢だが、今回はGPS/GLONASSをGNSS−1とする為のIntegrity補強等前向き建設的な態度が感じられた。
日本でもFANS導入に向けた準備が着々と進められてといるが、世界とのHamonization/Coo−rdinationをどこまで達成できるか、特にアジア諸国、lATAを正面に捉えた日本の動きが重要と感じられる。
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